— ねぎぎ (@negigi) November 9, 2024
アカデミー賞長編アニメーションにノミネートされたロボットドリームズを観ました。アカデミー賞でノミネートされたあたから気になっていたのでようやく日本公開されて嬉しい。
感想
自分は原語版の予告しか見たことない状態で観ましたが、個人的には前情報を入れずにとにかく初見でネタバレなしに観てほしいなーっていうのがありました。
観た後にかなりショック感は強かったですが、そのショック感も含めて感情を揺さぶられたという点では個人的に秀作な映画でした。
ストーリーとか
タイトルの意味
タイトルの通り、ロボットが見る夢が主題となっており、それが終盤まで続くのがこの映画の肝の部分でありました。
ドッグが注文でロボットと出会ったことで一人ぼっちの状態から2人で過ごすようになってイキイキした生活を送るものの、ロボットと海に入ったことがきっかけでロボットが錆びついて動けなくなったところから2人の経緯を追っていく話でした。
二人が出会ったことはあくまでも通過点であり、ゴールではないというのがセリフなしでかつファンシーなデフォルメ調の動物アニメ映画で描ききったのがこの映画のポイントで、それを客観的に観ている観客としては人物の行動の選択が今後の二人の選択を決定づけていく、ある意味残酷さというのが観客によっては見えるのかなと思いました。
終盤で感じたこと
最終的に、ラスカルによってラジカセの身体になってしまったものの、自分で歩けるようになり、ラスカルと二人で暮らすようになったところでドッグを見かけるものの、ドッグはすでに新しいロボットを迎えているが本人に駆け寄り、自分の存在を知らせ、ハグする…がすべて夢(どちらかというと空想?)であり、その現実を受け止めたのがSeptember(ドッグとロボットが二人で出会ってダンスしたときに流れた曲)を流したところ、ドッグとロボットはお互いに一人でダンスしているものの、ダンスの動作はピッタリあっているというシーンが画面分割で流れるシーンが幸せでありながらもそれを客観的にみている自分としては今後の二人を決定づけるシーンでめちゃくちゃに感情を揺さぶられて涙出ました。ドッグはダンスしているけど新しいロボットはそれを見ているだけなので、Septemberが二人にとっての思い出の曲であることを意味づけているのと、ビーチで動けなくなったロボットが何度かSeptemberを口笛で吹いているので、Septemberがこの映画で重要なキーとなっているのが感覚的に伝わってきました。
序盤では幸せ絶好調!!な曲で使われた曲が終盤で二人の今後を決定づける曲として使われるのでロボットドリームズの見せ方すごく上手くて、制作者の思うがままに感情を揺さぶられた気分でした。終盤のダンスのシーンは例えていうならシートベルトつけそこねた状態で急上昇急降下急旋回のジェットコースターに乗った気分でした。映画終わったあとに結構ショック状態がすごかったです。別の言い方だとハグしたかと思ったら腹部に刃物が突き刺さっていたって感じでした。そのくらい感情が揺さぶられるくらいには計算されつくした映画でした。
ロボットのこととか
ドッグとロボットのドラマが交互に描かれてはいますが、何度かロボットが挟む夢のシーンや終盤のシーンを見るあたり、この映画の真の主人公はロボットだなーって思いました。
ロボットが観る夢は現実と理想のギャップを描いたロボットの深層心理ではあるものの、それが夢だとわかった瞬間のギャップに振り落とされる分より現実の実態というのを実感するので、それが予告で見た二人が楽しそう!!っていう部分とのギャップをより一層に作っていくのでかなり可愛らしい絵柄と相まってかなりリアリズムを感じる作品でした。
ビーチで動けなくなったロボットは動かないながらもドラマがあり、ボートの修復のために足を切断されたり、ロボットが何度かみる夢がドッグへの思いを募らせたり、ロボットの脇を巣にした小鳥の親子と出会っては小鳥飛ぶことを応援したり動かないなりにドラマがあり、ドッグのことを思い続けたり、ドッグに限らず人の行動を応援したりとロボットの人の良さがドッグと別れたあとのドラマで伝わってきます。そんなロボットの健気さや人の良さに救われます。
ドッグのこととか
一方で、ドッグはロボットが錆びついて動けなくなったロボットを救おうと本を買ったり、閉鎖期間中のビーチに侵入しようとするものの、失敗。いつまでもしょげているわけにはいかないため、ハロウィンを楽しもうとしたり、雪山にそりすべりに言ったりしようとするものの、出会いには恵まれず、よりロボットへの思いを募らせていく。海開きの日に真っ先にビーチに行ったものの、見つかったのはロボットの片足のみで、ついにはロボット売り場で新しいロボットと出会ってしまい、新しいロボットを買ってしまうという流れ。
観客の目線でみたときに
二人の始終をしっている観客からすると、別段ドッグの選択は間違っていないし、彼にとっても最善は尽くした行動ではあったのに、二人が再開してハッピーエンドという「こうであってほしかった」が押し寄せてくるのが、この映画におけるグロテスクさだなと思いました。ドッグも、ロボットも、ラスカルも含め誰も不幸せになっていないのに、彼らがした選択が当初の目的から大きくそれ、「こうであってほしかった」ではなくなってしまうのが視聴者だけが感じる悲しみなのかなと思いました。
もっというと「あともうちょっとで出会えたかもしれないのに!!」とか「なぜ新しいロボットを買った!!」など観客がドッグの行動に対して怒りを覚える人もいるかもしれないのでは?と思った。
けど怒りの矛先はドッグではないんだよなあって思った。多分そういう行動指針のブレのなさにイラつきがあるのかなとか思った。
映画終わったあとに、映画観る前にもらったカレンダーをみたらなんとも言えない感じなりましたし、唯一グッズで売っていたTシャツもドッグとロボットが横並びになったやつで直視できなったです。パンフレットは買いましたけど。
キャラとか
キャラとかは基本デフォルメされた動物キャラなのでかわいいです。
なので個人的にはモブのデザインとかみるのもすごく楽しいので前段のストーリーだけにフォーカスした内容だけではないので、そういう意味も含めて楽しめました。
背景とか
80年代のNYCが舞台なので、まだツインタワービルがある頃のNYでした。
一口にNYCといってもコニーアイランドの遊園地エリアやセントラルパーク、チャイナタウンなど様々なところが劇中に描かれるのと、シンプルな線で描かれるNYCがすごく素敵なので、個人的にはアートブックでほしいなってくらいでした。
その他感想
似たような映画でいうとラ・ラ・ランドに近いのかなと思いました。二人の出会いはゴールではなく、あくまでも通過点という意味で。
どことなく従来のアニメ映画とは違って、二人が再開して終わり!!ではなく、むしろその後を描いてどうなるか…?という部分がアニメーション映画としては描かれていたので個人的にはアニメ映画の中でもかなり革命的な作品なのかなと思いましたし、今後そういった従来の映画で終わりとされていた部分を問題提起とする映画も出てくるのかなと思いました。フリーレンもそんなストーリーであるから目新しいんだろうなって思いました。