【ネタバレ有り】ズートピア2を観たぞ!!【映画感想】

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念願のズートピア2を観ました。

感想

全体を通して、2ならではのストーリーが展開されてエンタメとして面白かった!!という一方で、個人的には1のテーマである動物を通して描かれる偏見や差別といった要素が抜けきったズートピアに、何か物足りない雰囲気を感じてしまったところも正直あったりしました。 1の一見様々な哺乳類が共生する社会の中で渦巻く分断といった部分が、まさに現代版の寓話という形で描かれているのが当時観たときの自分には衝撃でした。しかも物語の展開が素晴らしく、当時何かのラジオで聴いたときに「(1は)欠点がないのが欠点」と言われていたほどの傑作であったため、そこから2を作るとなると、観る前から「そういう意味では1は超えられないだろうな〜」と思ってしまっていたところはありました。

もちろん、2は2で良さがあり単純に比較はできないのですが、雰囲気の話でいうなら1は「静」で2は「動」なんだろうなと思います。そういう意味では2はエンタメに振り切った形のお祭り映画でもありますし、かといってストーリーが破綻しているわけでもない。ズートピアの世界をより深掘りした作品なんだなという意味では、1と役割は違うのかなと思います。

ニックとジュディとか

1からの続きということで、仕事上の相棒になったところから始まりますが、お互いの違うところが加速してすれ違いが起きてしまいます。しかし、ヴィランとの敵対を通してお互いに再度歩み寄るところが良いです。 個人的には、1でキーアイテムとなったニンジン型のボイスレコーダーがうっかり事故で破壊され、不可逆的な進行になるところがポイント高かったです。 2人を繋ぐキーアイテムが壊れるシーンは、まさに2人の関係性が壊れたかのような象徴として描かれていますが、それを乗り越えて忘れたころに文字通り修復するところもグッときました。 ちなみにレコーダーが壊れたとき、隣の席のおっさんが「ハッ」と声にならない吐息を漏らしていたので、「そりゃそうなるよな…」と思いながら観ていました。

1の最後ではジュディが想いを語りましたが、2ではニックが語るので、そういう意味では1と2は対比だなーと思いました。

あと2のニックは基本かわいそうな役回りで、ロープを降りるときに摩擦熱で手を痛めたり、警察官にボコられて逮捕されたりと散々ですが、1では見られなかった「他の警察官との絡み」があったりと、彼が表社会の人物と関わる社会性が描写されているので新鮮でした。

キャラクターとか

ストーリーとか

今回もゲイリーが日誌を奪おうとしたところからストーリーが始まって、日誌に何が隠されているのかという謎を解き明かしていく道中に、警察からの逃亡劇やニックとジュディに与えられた「お互いが違いすぎる」という問題提起を絡めていく展開は、飽きがこなくて良かったです。また、警察官としてのニックがどう周りと関わっていくかという部分が垣間見られたのも良かったです。 一方で、ヘビのゲイリーとパウバートという2で出会う相棒(マブダチ的な意味だと思いますが)同士の関わりを通して、ジュディが自分の行動を思い直して成長していくところや、1ではクールなキャラだったニックが警察官として、そしてジュディの相棒として、彼女への想いが変化していくところが顕著に描かれており、出会った後に起きうる問題という部分を見事に描いていたなと思います。

観る前に想像していたストーリーとは違って、ゲイリーとニックが接触するのは物語のかなり終盤でした。ニック側もジュディやゲイリーがやろうとしていることを把握していなかったのですが、そこをジュディが一言のセリフで説明して埋め合わせるシーンがあり、そこが脚本的に少し粗いかも…?と思ったのが唯一モヤっとしたところです。原語版で観たときはそこまで違和感がなかったので、吹替版ならではの違和感かもしれません。

個人的に見せ方で上手い!と思ったのはヴィランの出し方です。今回はメインキャラである御曹司のパウバートがヴィランで、見るからにおとなしそうなキャラをしていたので、最近のディズニー作品の傾向から「ハハーン、こいつが黒幕だな?」と一度は疑いました。しかし、終盤まで何もしない一方で、パウバートの父親が市長を脅したりと明らかにヴィランらしい動きをしていたので、「あれ、パウバートはヴィランではないのか?」と一度自分の中で候補から外したタイミングでヴィランとしての牙を見せるので、ある意味制作者の罠にハマった…!?と感じました。 自分の中でヴィラン候補に入れたり外したりしたのはただの主観ではありますが、パウバートの父親が表立って行動している分、パウバートが悪いことをしているとは思わせない見せ方は、どこまで意図的かわかりませんが流石!と思ってしまいました。

世界観とか

1では世界観の説明として広く浅く風呂敷を広げていった一方で、2ではズートピア誕生の秘密という部分で、1では一切出なかった爬虫類について触れています。1では見られなかったマーシュマーケットや爬虫類の住処が出てきて、水生生物の生活を垣間見られるところは、2だからこそ楽しめるポイント。擬人化された動物たちが生きる場所として丁寧に描かれており、「さすがディズニー!!」と思いました。歴史的な経緯で隅っこに追いやられた爬虫類たちの住処が2から登場するので、逆に「なぜ1では出てこなかったか?」という部分にもちゃんと帳尻を合わせてくれるため、世界観が破綻していなくて個人的に評価したいポイントです。

ニックが警察官になったことで、ニックとクロウハウザーの絡みが見られたりと、彼にとって新たな関係性が構築されているのも良かったです。1でもボゴ署長とは話していましたが、当時とは関係性が違うので、ニックの視点から見た世界観を新鮮に楽しめました。なんといっても2ではニックの自宅が公開されたのが衝撃的で、ジムの下に家がありましたが、そのジムはズートピアエリアにもあったような気がします。

ちなみにエンディングの後で鳥の羽根が落ちて終わるので、3では鳥類が???と思ってしまいますが、そうなると「なぜ鳥類が1と2に出てこなかったのか」という疑問が湧きます。そこを制作側がどう帳尻を合わせるのかが気になるところです。今のところ、鳥インフルエンザなどの病原菌関連で隔離されていた……とかかなと予想しています。

その他

  • 吹替版内で差し替えられる日本語が結構少なかったです。せいぜい新聞やニンジンのボイスレコーダーの台座くらいで、個人的にはそのほうがありがたいですが、主題歌の「Zoo」も吹き替え版の歌がなかったので「あれ……?」と思ってしまいました。
  • WDJなら吹替版を用意するだろう!と思ったらなくて、そのまま原語版に字幕がついた状態で流れていたので、なぜ??と思ってしまいました。ガゼルの吹替はDream Amiさんを起用しているから歌えなくはないと思ったのですが、大人の事情が絡んでいるのでしょうか。
  • 2ではラプンツェルのフライパンなど、他のディズニー作品のパロディシーンが大量に差し込まれている部分も含めて、1に比べてワイワイしながら観るような映画だなと感じました。
  • ニックが「ヘビが出た」とからかうシーンで、「くねくねワイパー」と言っていたところが、原語版だと「バイパー(毒蛇)」だったので、吹替版への翻訳が上手いなと思いました。

おまけ

パウバートの父親ことミルトン・リンクスリーが自分の中で救いになっています。助けてください。