【映画感想】マイ・エレメント-元素(人種)という壁【ネタバレ有り】

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観ました。色々とディズニー映画がポリコレ云々で一部の人間に騒がれている時代の中で公開されていたので内心どうなるんだろうと思っていました。結論から言うとかなり面白かったです。

感想

テーマとか

テーマでいうと、特に人種(民族?)のメタファーが顕著で、火のエレメントが水・土・風がメジャーとされているエレメントシティの中では異端とされていて、インフラが整っていない状況の中、火のエレメントはファイアタウンに固まって暮らしているという部分がNYでいうとハーレムだったりチャイナタウンだったりと現実にも有り得るようなシチュエーションがまず観客に突きつけるあたりが印象的でした。
そんなある意味住みづらい状況の中で親が雑貨店を営む娘のエンバーが他の人種(水のエレメント)との壁を感じ、また雑貨店を引き継ぐか自分のやりたいこととどう折り合いをつけるかなど様々な要素(エレメント)が重なっている映画でした。

人種的な部分でいうと、エンバーの父親は地元を離れるときに火のエレメントなりのお辞儀をしたものの、両親はそれをしてくれなかった(恐らく地元を離れることを許せなかった)が、エンバーがラストでエレメントタウンから離れた工房に行く際にエンバー自身も火のエレメントなりのお辞儀をして、それを見た親がお辞儀をし返すというシーンがあり、このシーンで親子愛という側面と、火のエレメントとしてのアイデンティティを保ち続けるという意志がでていて、個人的には後者の民族としてのアイデンティティが見受けられるシーンとしては面白かったのですが、冷めた目線でいうと映画のわかり易すぎる伏線ではあるなあとは思ってしまった。なんとなく義務感でやらされている感じではあったのかなとちょっとクサい印象は持ってしまった。

ポスターにも書いてある『違うエレメントとは関われない』はちょっと語弊があって、水・土・風は時代的な流れで時を経て共生するようになったが、火のエレメントについてはそうではないし、開拓しようとした第一歩がエンバーの両親であったのがなんとも心苦しさを感じるシーンではあったと思います。

ストーリーとか

反面で、全体のストーリーでは火のエレメントのエンバーと、水のエレメントのウェイドがなんだかんだで出会って割と早い段階でいい感じの雰囲気になるが、親族に恵まれ、流行りの言葉でいうと実家が太そうなウェイドに対してエンバーがカツカツとした状況の中でいきている格差の部分が2人を一時的に引き裂く状況であったのが恋愛映画らしいところだなあと思いました。
別れるときはほんの一瞬の出来事で別れてしまうのが、なんともうまいというかそのあたりもストーリー的には計算してそうと思っていた。

雰囲気とか

ちなみに全体の雰囲気はかなりロマンスな印象が強く、男女が出会う、(同じ元素同士の)エレメントがくっつくのが自然であると、かなり古典的な印象だなあと思いました。
個人的にはトーマス・ニューマン作曲のエコー音が印象的なBGMが作品全体の感情を担っているような気がして、セリフだけで片付けない、雰囲気で印象強くさせるシーンが豊富だったのが満足でした。

火のエレメントについてはCGの描写が2D寄りな感じでリアルな背景の中でどこか浮いた感じの描写に見えるのも、美術的には面白い一方ではあるものの、視覚的に浮いた存在であるというのを知らしめるためにそういった表現にしているのかなと思った(単に流行りのリミテッド・アニメーションにするとかはなく)

全体的に今風のテーマに寄せつつも、古き良きなスタイルと新鮮さを両立させたような感じがして引き込まれる要素は多いのかなと思いました。ただ、そういった要素がチラツキすぎて、少し中途半端なのかなとは思ってしまうかもしれないですが。

その他(追記)

作品の本筋とは関係ないですが、昨今のポリコレ云々の情報でディズニー関連の情報にネガティブな情報がまとわりつくようになり、それに付随するかのように『ポリコレで爆死www』みたいな再生数稼ぎとかインプレッション稼ぎのネガティブな情報で広告収入を稼ごうとしている感じの動画チャンネルが見受けられたりして非常に残念な気分になったりしましたが、作品としてはそれらを払拭するようなまとまり方で良かったなあと思いました。
個人的な思いとしてはそういった動画を見て、映画を観る、観ないを決める人もいるだろうし、映画公開前の、観ていない投稿主自らが発信する情報で煽られて観る観ないを判断しないでほしいなァと思ってしまう。。

ここについては別のトピックでまた話すかもしれない。

ディズニー作品において、2010年代は良質なアニメーションが多かった一方で、2020年代はどうなっていくんだろうなあみたいなあという側面でどう収束していくんだろうかみたいな部分の瞬間に今はいるんだろうなあと思うときがあります。おわり。