【ネタバレ有り】君たちはどう生きるかを観た【映画感想】

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観ました


観ました。ポスター以外の情報がない中で、ジブリ映画を体験できるという貴重な機会を感じて、自分自身も可能な限り数日前から情報をシャットアウトしたり、当日は鑑賞するまでTwitterを不用意に開かないようにしてたりしました。
人の感想やどういう話だったかに簡単にアクセスできる時代になってしまった分、こういった手法で映画を公開できるのはなかなかジブリのブランド力があってこそだなあと思った。
ちなみに、公開当日のレイトショーで行きましたが、全席埋まってました。普段は埋まらない最前列も埋まっていたのでマナーの悪い観客がいたらどうしようと思っていましたが、そんなことはなくてよかった。

感想

ストーリーの大きな流れ的に戦時中、母が焼死して主人公が疎開→疎開先の家の近くにある屋敷に主人公の父親の嫁が入っていたので後を追ったところ、不思議な世界が待ったいた…みたいなところです。

全般的なテーマでいうとなんともいえないですが感情の見え隠れがテーマなのかなと思っているところはあり、作品全体で主人公自身が感情やセリフと吐露せずに行動するところがあり、それらを観客としては彼がどういう行動で出るかといったところで推測するしかないので、かなり行間を読むような内容だなあと思いました。
ある意味そうした人の表には出さない部分というのを露骨に出さずにエンタメ通して見せてくれたのはある気がします。ただ、その見え隠れという抽象的な部分が主人公の言動に限らず、独特な世界観の設定もふわっとしている感じで、観客側もそのあたりを追いながら映画の展開を追うことになるのかなと思ったり。

主人公自体は真面目っぽいながらも焼死した母親のことを想っているが、使用人のおばあさん達にタメ口だったりお父さんの再婚相手に対してそっけない態度をとったりと劇中の言葉でいうと「生意気」と称されていたので、使用人の立場的にはあれこれ言わないながらもきちんと主人公のことを観ているあたりは年長者としての役割がしっかりしているなと思った。そんな「生意気」な尖った主人公の虚栄心みたいな部分が劇中の人物との出会いや人物のバックグラウンドを知ることで丸くなっていくようなものは感じた。

ストーリー

ストーリーの展開についても冒険譚みたいなところが中心に描かれますが、ストーリーの展開が穏やかというかいわゆる起承転結があまりはっきりしないのかなとは思ってしまった。
なんとなくそういった抽象的なストーリー展開や世界観、人物の描写が総合的にふわっとしていて、感想を書こうにもなかなか言語化し辛いのかなと思ったところはある。それが意図的であるのか、今回はそうなってしまったのか結構見えづらいけど。。。
ストーリーを展開させる役目であるアオサギ(ポスターのやつ)が案内役となって館の中にある世界(確かペリカンいわく地獄と称してた?)に導かれていくが、主人公がアオサギ(しかも中身におっさんが入っている半分人と半分アオサギのタイプ?)となんだかんだ途中から冒険する羽目になるが別に仲違いするとかではなくグチグチいいながらも再婚相手のことを探しに行くという話だった。かといって明確にバディものでもないので相手がピンチになったから助けるといった明確なものが書かれるわけではないので、ストーリー展開的にどこのあたりにいるのかがわかっていなかった。

最終的に主人公が大叔父様に、叔父がいる世界の均衡を保つよう頼まれるが、元の世界で生きることを伝え、なんやかんや元の世界に戻る…といったストーリー。
主人公の心境の変化が明確にかかれていない(書いていない?)のでどのあたりで主人公が変わっていくか気づきにくいところではあるが、最終的に主人公が生き生きした表情になっていて、ある意味母親の焼死という部分から解放されたのかなとは思っている。

全体的にぼやっとした感じのストーリー展開や心境の変化はある意味リアルではあるのかなと思い、そういった部分をあえて描いているのかなと思ったが実際はどうなんだろうとは思う。

世界観

世界観についてはストーリー序盤の太平洋戦争中の過酷な世界とは異なり、ファンタジーな世界ではあるものの、ペリカンが人の元になる子を食べて生きていたり、増えすぎたインコが人間を狩ろうとしていたりと、なかなかシビアな世界が広がっていた。
ただ館のデザインだとか、ヒミが暮らす部屋の洋風な内装だったりだとかはジブリ特有のワクワク感があるような世界観が続いてはいたのが魅力だった。
あとなかなかシビアな中を生きている鳥類もキモさはあるものの多少の愛らしさはあったりする。

人物

個人的にはポスターのヴィジュアルに出ているアオサギに限らず、ペリカンやインコだったりと鳥類の種類が豊富だったのが驚きだった。
アオサギについてはポスターのヴィジュアルで、中に人が入っているのかなと思ったら前述した通り、おっさんが入っていたのが衝撃だったが、死んだペリカンに対して南無阿弥陀仏としたり、なんだかんだ主人公に協力的だったりと、慈悲深い感じが個人的に刺さってしまった。本人の見た目のおっさんなところを鑑みるとどことなくねずみ男のような感じではあるのかなと思ってしまった。
主人公がアオサギのことを友達と称していて唐突やなと思っていたが、アオサギは「忘れる(恐らく冒険した世界やアオサギ自身のこと)」と台詞を吐いていて個人的にそこで涙流してしまった。
アオサギ自身は何かを俯瞰しているような人物の印象ではあったが、自身を一過性の存在と思っているあたりの儚さを勝手に感じ取ってしまった。おっさんみたいなビジュアルしてて初見は「なんだコイツは」と思ってしまったものの、段々アオサギに惹かれている自分がいて、ポストカードを買ってしまった。中におっさんが入っているアオサギのグッズもください。

あとインコ大王についても素敵なビジュアルだったなあと思った。

人間の人物でいうと印象的なのが疎開先の家にいる使用人のおばあさんが7人もおり、歩き方がそれぞれで個性的だったり、主人公について行ったキリコというおばあさんは主人公が父親の再婚相手の行方を追う際に心配ながらもついて行き、ストーリーの序盤ながらも主人公が父親の再婚相手に対していい印象を持っていないながらもどうして行方を追うのかと言及していたあたり、キリコさんの年長者ゆえの洞察力があるんだなあと思ったら、後に迷い込む世界で若い頃のキリコさんの姿が船乗りとして登場して主人公を導いたりしていて、劇中でも魅力的な人物の一人であった。キリコさんの若い頃の人物像を知ったことで主人公自身も心境の変化に変わったところはあったのかなとは思う。

その他

観た後で描いてしまった。