【コラム的な】年をとることに対してポジティブな意味を持ち出すボスベイビー

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ボスベイビーを観た。最高にネタバレアリです。

ヴィランのフランシス・フランシスはベイビー社のトップに上りつめたが、生来的な体質(乳糖不耐症)により、摂取すると年を取らないようになる特殊なミルク(通称スーパーミルク)を身体が受け付けなくなり、結果本人が望まない成長をしてしまう。ベイビー社ではその名の通り赤ちゃんのみで構成される会社のため、取締役会の決定によりトップの座から下ろされ、フランシスのポジションは若い者に奪われ、本人が望まないままとある家族の一員として育てられる。フランシスは成長し、ベイビー社に復讐するため、Puppy Co(ワンワン株式会社)のCEOとなり、年を取らない犬、Forever Puppy(フォーエバーワンコ)を開発する。フランシスの意図は開発した犬が年をとらないことにより、年をとる人間と異なり、一生愛され続ける存在となるとなり、赤ちゃんが受ける愛のシェアを奪うことである。

※補足として、ベイビー社の目的は赤ちゃんが愛される存在となるよう他の愛され要員(犬や猫や魚)よりも愛されることのシェアを拡大することを目的としている。

ここで感じるのが、フランシスの年を取ることの恐怖感である。恐らく、取締役会によりくだされたクビの通告や、若いものにポストを奪われたことのトラウマが引き金となり、年をとる=愛されなくなるとフランシスは認識していると感じられた。

結果として、フランシスの計画は主人公のティムとボスの活躍により、失敗に終わる。余談だが、フランシスは大量のスーパーミルクを浴びて再び赤ちゃんに戻ってしまう。(ここで作品上の矛盾点が生じるが)フランシスの兄であるユージーンが「今度はちゃんと育てる」とティムとボスに言い残し去る。作品上語られないが、ユージーン自身から「今度はちゃんと」と言うあたり、思い残すことがあったのだろうと伺える。

そしてボスの活躍により、ボスはベイビー社のトップに上り詰めるが、ティムの手紙(劇中ではレポートと表現)により、「転職」という形でテンプルトン一家の一員になる。ストーリー的には容易に想像がつくが、本来ボスは普通の赤ちゃんになること(=年をとること)をフランシスと同様恐れていた。しかしながら、ティムとの出会いが運命を変え、所謂普通の赤ちゃんになることを選択する。

結果的にボスはフランシスと同様、ベイビー社経営の立場から家族の一員となる道を歩むが、ボスとフランシスで異なるのが年をとることに対しての肯定感の有無を感じられる。

個人的にボスベイビーを読み解くと主人公側とヴィラン側の対立関係が伺え、鑑賞前に予想していたよりも凝った演出や伏線回収が存在し、少なくとも5回は鑑賞した。また観たい。