FLEEフリーを観た
観ました。
観ようと思ったきっかけは、アカデミー賞の長編アニメーション賞にノミネートされたのがきっかけでタイトルを知りました。長編アニメーション賞だけではなく、長編ドキュメンタリー賞にもノミネートされていたりと、かなり社会派な作品であることを視聴後の情報で知る。
感想については所々情報がうろ覚えですがお許しを。
感想
アフガニスタンで生まれ育った主人公アミンがロシアに滞在の上、高い金を払ってようやくデンマークに逃亡する…といった話。
過酷な半生を通して主人公の心理がガチガチの盾を構えた状態になっていることが主人公が初めて半生を語ることで彼自身も自覚していき、主人公の彼氏と次のステップへ進んでいく…というドキュメンタリーでもあり、一人の主人公がこれまでの人生を吐露することで変わっていく…という二重の意味で映画でした。
ソ連崩壊の崩壊のロシアとか
主人公がアフガンの後に不法滞在した(ちょっとこの辺りが不明瞭でビザが切れていた?)ロシアでの生活も決して自由ではなく、作品の中盤のあたりがキラキラしているどころか、逃亡しようがしまいが凄惨な状態であることが主人公の口から語られるのが印象的でした。
資本主義社会へと変わったロシアが明るいものかと思ったらそうではなく、モスクワにマクドナルドが出店し、お祭りムードになるが、不法滞在している主人公とその兄は警察につかまり理不尽な暴力や連行をされそうになったり(結局されなかたったが)、同じく不法滞在?の身でパトカーに乗せられた女性はそのまま連行され、恐らく警察に強姦されたのではという非常にモヤモヤする描写が映画視聴後でも嫌な意味で後を引く描写があった。
映画の冒頭で、この話は実話ですという前引きがあるため、この女性がそのまま解放されないシーンが非常にもやっとしてしまうが、それがある意味ドキュメンタリーの本質でもあると感じさせた。
家でテレビを観ていても警察が近くにくるとテレビを消して、声を殺し、警察が帰るのを待つ…といった家でも外でも心が休まらないシーンが進む。
そんな緊張状態が常に続く中で成長してきた主人公が監督との対話を通して自分を客観視していくといった描写が時々入ってくる。
亡命とか
ロシアでの生活が限界のため、母と姉が不法入国を手伝う業者に金を払ってスウェーデンに亡命しようとするも、雪が積もった、夜の森を抜け、ボロい船の貨物室の中ですし詰めの如く他の亡命する人間と身を寄せ、過酷な海の中を船で進むが船が浸水し、豪華客船に助けを求めるも通報され亡命が失敗に終わる…といった逃げようが逃げまいが地獄な環境が主人公の周りを襲ってくる。(ちょっとこの辺りが曖昧。。)
デンマークへ亡命
最終的に家族が工面した高いお金で主人公1人が高い金を払って飛行機でデンマークで亡命するという展開になる。
不法入国業者が偽造パスポートを用意して、ともに金を払った主人公よりも年上の男性と途中まで同行する…といった展開がある。
個人的に空港までの道中、移動するバンの中で男性を音楽を聞いたり、会話をしたり、窓から差し込む街灯を目で追ったりと、自分の中では唯一救いとなるシーンがやってくる。
過酷な生活の中から抜け出せるのかもしれないという希望と、偶然居合わせた男性との交流た、1つのヘッドホンを分けて音楽を聞いたり、静寂な夜の移動など、セリフの無いシーンが鑑賞中の自分の癒やしとなった。
主人公の目を通して描写される男性は、どこか頼りある感じのお兄さんという描写描かれるが、主人公と恐らく境遇は同じで名前も聞けず、それぞれの行き先に行くため空港内で分かれてしまうという緊張した道中の中で主人公は片思いだっというがその描写がひしひしと伝わってきた。
業者から入国直前に偽造パスポートは捨てろと指示されたため、指示通り捨て、入国管理局に難民として申告し、デンマークにたどり着き、数年後にスウェーデンにいる家族と再開する。
主人公のセクシュアリティとか
過酷な亡命生活の一方で、主人公がゲイであり、そのことをひた隠しに生きてきた。
終盤、ポロッと家族にカミングアウトしてしまい、家族に連れられた場所がゲイバーというシーンがやってくる。
家族が否定せずに認めてくれたというのと、ゲイであることを認められるコミュニティがあるというシーンが同時にやってくるシーンがなんとも印象的だった。
家族が何も言わずに車でどこかに連れていこうとするシーンはなんとも恐怖であり、どこか人気のいないところでボコボコにされるのではというドキドキ感があったが、そんなことはなかった。
その他もろもろ
途中うろ覚えがあったり(あと少し寝そうになった)のシーンがあるが、ところどころ心理的なズシンとくるシーンは鮮明に憶えており、心に鉛が沈むようなシーンがところどころある映画だったのは確かだった。
特にソ連崩壊後のロシアが輝いているかと思ったら警察が腐敗したような状況であり、一概には言えないが当時のロシアってなんかなあとどうしても思ってしまうところでもあった。
とてもワイワイみんなで観る映画ではなく、個人的にホテル・ルワンダを観た時と同じ感覚の映画であったが、国際情勢とか好きな人はぜひとも鑑賞いただきたい映画であると感じた。
最後に
ちなみに自分は公開2日後の池袋で観に行った。初めてグランドシネマサンシャインに行ったが、シートがちょっとリクライニングっぽいのか後ろに倒れてしまうのが違和感あった。
色々と弁明ではないが、解説や感想サイトの大半はドキュメンタリー目線で書かれるのかなと思ったので個人的に主人公の心情とかに着目して書いてみたかった。おわり。